84年生まれを切り口にしたウェブマガジン「84ism」様へインタビューを行いました

84年生まれの人が84年生まれの人と運営する84生まれのためのウェブマガジン「84ism」を運営されています、ピチカートデザインの白坂翔さんにお話を伺いました。

84年生まれの人が84年生まれの人と運営する84生まれのためのウェブマガジン「84ism(ハチヨンイズム)」を運営されています、ピチカートデザインの白坂翔さんにお話を伺いました。

84ism
http://84ism.jp

年代という切り口、面白いですね。どういった経緯で思いついたんですか?

普通、学校を卒業した後に同い年で集まる事ってなかなかないじゃないですか。学生時代はみんな同い年ですけど、卒業してしまうと年齢が違って当たり前になって、同い年のコミュニティって出来づらいのが寂しいな、と思ったのがきっかけです。

それで、サービスなんかでも「ニッチ」が好きっていうこともあって、同い年だけに絞ってみたら面白いんじゃないかと、同い年の忘年会をやったんです。その忘年会で40人くらい集まったんですよ。40人集まるって結構凄いねって話になって、何かできないかなっていう流れになったんです。その時僕の中ではウェブマガジンブームが来てて、じゃあウェブマガジンやりたいんだけど、サイトをつくるからライターだけやってよ、みたいな形で話が進んだんですよ。

ウェブマガジンブームですか?

当時、ウェブマガジンが色々でていたんです。その中でナイロンガールズ(http://nylongirls.jp/)っていうウェブマガジンがあって、女の子10人くらい集まってやっていたんですけど、面白そうな事やってるなぁと興味があって見ていたんです。
収益を考えずにやりたい事やるって楽しそうだなと思っていたので、そのタイミングも重なったっていうのがありますね。

反応はいかがでしたか?

最初はけっこう「斬新」みたいなリアクションをもらって、良い反応が多かったです。コラムライターも割と最初の時点で10人くらい集まってくれて、最初の記事をうまいこと書けたので、なんとかスタートできたという形なんですけど、最初に手を挙げてくれた人が多かったのが、有り難かったなと思いますね。

それが2年くらい前のお話なんですけど、ちょっとずつメンバーも増えてきて、コミュニティとしても確立してきたかなと感じていますね。例えばR25のように年齢で区切るのとは違って84年生まれというのは年を取っても変わらないので、同い年同士、コミュニティで集まったりイベントを企画してずっと一緒にやっていけるっていうのは、面白いと思ってます。

そういうリアルなイベントとウェブメディアとの連携はどうしていますか?

メディアでは告知するだけですね。84ismで主催しますよっていうのを出して、運営メンバーにイベントスタッフをしてもらうだけです。丁度一年くらい前に84年生まれだけが集まるクラブイベントをやったんですよ。年齢確認して同い年しか入れないみたいな形で250人くらい集まりました。
ただそういうのも面白いんですけど、年代で絞ったメディアをやってると、他の年代に対して割と排他的になっちゃうので、最近は84ismを知っていればどんな年代でもいいですみたいなイベントをやったりしていて、割と間口を広げていきたいなと、ふわふわしてます。同い年だけで固まるだけじゃなくて、他の年代も交えたイベントなんかをもっとやっていきたいですね。

84年代の切り口だと、海外にも広がりそうな感じはありますよね。

それも今後考えたいですけどね。84ismのどこどこ支部みたいな。あったら面白そうですけど、ただそっちまで面倒見切れないので、サイトは用意するから、後は向こうで編集長立ててやって欲しいですね。84ismの海外版をやりたいので手伝ってと言われたら全然手伝いますよ。

違う世代から○○ismを作りたいという話はないんですか?

あ、1回ありましたね。84年の前後10年くらいのを全部作ってと。
もし他の年代を作るなら作ってもいいけど、それぞれの年代でその年代の編集長とかスタッフを立ててください。それができるなら作りますよって話をしたら、それは難しいということで頓挫したんですけど、でもありえる話ですよね。

企画なんかは一人で?

一人で勝手にやることが多いんですけど、84世代に割とウェブ系のディレクター、プロデューサーとかデザイナーとかが多くて、集まりやすいので、そういったとこにアイデアの相談をすることもあります。デザインとか制作とかは僕の方でパパっとやっちゃうような感じですね。

インタビュー記事なんかは僕と副編集長の2人でやってます。最初はインタビューを定期的にやることで、サイトのクオリティをあげようみたいな感じでやってて、それがうまく成功した感じはあったんですけど、ある程度アクセスが集まってきたから、最近は全然やってないですね。最初のころは木村カエラにインタビューするのを目標にしようぜみたいな事を言ってたんですけど、その意気込みはどこへやら(笑)

システムはワードプレスで作られているようですが、最初からワードプレスにしようと思ったんですか?

そうですね、ワードプレスの勉強もかねて作ったっていうところはあります。
2010年に84ismがワードプレスサイトコンテストというので大賞を受賞した(http://contest.fsv.jp/)んですよ。それでワードプレスが得意ですって、会社の実績として提案に使えていて、趣味で作ったにしては仕事に繋がったり、同い年の繋がりも増えたりしてるので、個人的にはうまくいってるかなと。

事業としてはいかがですか?

84ismに広告を貼ってお金儲けするとかっていうのは全然考えていないですね。
ウェブマガジンを運営して、アクセス稼いで広告収入をあげるのは理想的だなと思って、興味はあったんですけど、84ismに関わってるメンバーが30人40人いると収益の分配で揉めるなと思って。お金で揉めるのは一番やりたくないので、何かしら収入があったとしても、イベントなどの企画に使う方で徹底していこうと進めています。良い意味では楽しくできてる、けどお金にはなっていないので、ビジネスとしてはしんどいかなと。収益は割り切ってやっていますね。
ライターさんでいうと、みんなボランティアでやってもらっているので、ギャラなどは発生していないんですけど、自分の発信したいっていう欲求を満たすとか、セルフブランディングに活用してもらうっていう点ではメリットがあると思います。

問題のあるコラムを投稿されてしまうことは?

あります、あります。ライターには、ブログじゃなくてウェブマガジンだよと言ってます。例えば日記系の記事みたいに、さすがにこれはブログ記事だろうっていうのは自分のブログでやってくれと。でもコラムということを頭に置いてくれれば何書いてもいいと言ってるので、ハードルはだいぶ低いですよ。で、やっぱりみんな元々素人なので、文章のうまい子もいるんですけど、得意じゃない子もいたりします。でも逆にそれも味にしようかなと思って、キャッチコピーを“育ち続ける等身大ウェブマガジン”ってしたんですね。素人が84年生まれというだけで書いているので、クオリティの低い記事があっても許してね、みたいな意味も含んでるんですよ。そういう意味ではウェブマガジンとしてクオリティが高いかというと微妙なんですけど、あまりそこにこだわっても楽しくできないなと感じているので。楽しく続けていきたいんです。

広告主がいないメディアっていうのは、そういう点でやりやすいですね。ちゃんとお金を払ってくれている広告主がいたら、広告主に配慮しないといけないじゃないですか。そういうのは全くないので、やりやすいですね。

認知を広げるためにどういうことをしましたか?

一番最初にやったのはツイッターとフェイスブックとmixiでの宣伝ですけど、mixiよりはツイッターやフェイスブックを使って認知させようとがんばったっていうのはありますね。
その頃丁度企業がツイッターを使い始めた頃で、“中の人が面白ければフォロワー数が伸びる”みたいな事が言われていたので、84ismのハチのキャラクターをイラストを書いてもらって、その子がつぶやくみたいな感じにしたんです。中の人も84世代の女の子につぶやいてもらったら、割とフォロワーが増えて、フォロワーが増えてくれば、記事を公開したときの告知もしやすいといった感じです。
フェイスブックは最近なので、イイネ!ボタンを用意するっていうベタなやり方とか、後はRSSリーダーとして記事が流れるぐらいの、一般的なやり方しかしてないんですけど、それでも800イイネ!あるので、そこそこ活用できてるかなとは思いますね。

今後はフェイスブックアプリなんかを作っていきたいなっていうのはありますね。診断系とか、イイネ!との連動を使って、イイネ!の数を増やしていきたいと思ってはいます。フェイスブックは今一番来てる感じなので、今のこのタイミングでやろうとは思ってますね。

2年間運営をされてメディアの成長はどんな感じですか?

一時期はメーリングリストを使って、コラムを書いて書いてって呼びかけていたんですけど、あんまり無理やり書かせるものではないと思ってるので、最近はコラムの更新頻度が落ちちゃってるというのがあります。もしギャラが発生するのだったら、期限を決めて書いてもらうんですけど、完全にボランティアなので書きたいときに書いてねみたいな形に落ち着きました。
“久しぶりに書いたから載せてよ”って連絡が来たら、パパっと載せるっていう流れになっています。更新作業も、誤字とかがなければそのまま載せるみたいな、割とゆるいです。正直、無理してやってもしょうがないので、そういう意味では、更新頻度が少なくなっても、あまり気にしてないのが正直なところです。
ビジネスモデルを考えるとそんなこと言ってられないんですけどね。PV落ちてきてるなと感じてても、焦らないでほそぼそでも末永くやっていきたいところがありますね。

今後のメディアとしての成長、メディアとしての活用という点ではどういうイメージですか?

ずっとこのままですかね。
息抜きの場と言うか、たまにイベントやって84世代のメンバーが集まる場所を定期的に設けつつ、個人的にも交友関係を広めていくというのに使えてるので、今後もどんどんいろんな人と仲良くなりたいなという感じですね。
イベントを企画して、そこで84世代が知りあって仲良くなって、それでカップルが生まれるのも見てるので、そういうの見ると作ってよかったなって思うじゃないですか(笑)

84歳になっても84ismを残しておきたいぐらいの感覚です。その頃どうなっているか全然わからないんですけど。
でも続けようと思えばできる話なので、他のメディアはどんどん出来たり消えたりすることがあると思うんですけど、年代での切り口っていうのは廃れづらいのかなって考えてます。

最後になにかありますか?

そうですね、コラムライター募集したいです!
今のライターさん達は、割と真面目にしっかりしたコラムを書いてくれる子が多いので、ふざけたコラムも欲しくて。せっかく何も考えないでもいいメディアなので、アホまるだしのコラムが書けるライターが欲しいですね。

最近は昨年の9月から事務所をオフィス兼カフェみたいな形で、自分達で使いつつお客さんにも使ってもらえるようにしているんですけど、そういうのも楽しくやってるので割と満足してます。

カフェとして開放しているオフィスも、そういった取り組みも、そして白坂さんご自身もスタイリッシュでとても刺激になるインタビューでした。また、84年生まれの方でライターしてみようと思った方は、是非84ismに問い合わせをしてみてください!

インタビュアー:将積哲哉

ウェブサイト

http://84ism.jp

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