2007年に運用を開始し、エッジの効いた情報を発信し続けるビジネスメディア「INSIGHT NOW!」を運営する、クイックウィンズ株式会社、代表取締役社長の坂口健治さんにお話を伺いました。
INSIGHT NOW!ウェブサイト
http://www.insightnow.jp/
もともと独立志向があってコンサルタントになったんですね。そこで独立のアイデアを探していました。コンサルタント業界には外資系のお客様が多くて、海外の方と話す機会が多かったんですけれど、海外では有名無名にかかわらず有名企業のコンサルタントとして活躍している方がたくさんいることを知りました。日本の一般的な商習慣はピラミッド型で、大きい会社が受注を下請けに回すという流れがありますが、コンサルタントの世界も同じです。著名なコンサルタント企業しか大企業と契約ができない現状をコンサルタントのフィールドで崩したいと思っていたんです。
私はインターネットの素人だったのですが、当時はWeb2.0という言葉が出だした頃で、この仕組みを使ってコンサルタントが直接情報発信する場を作れないだろうかと考えました。すでにそれに近いメディアはあったのですが、通常、編集部なり会社なりの意向があって、それに沿った記事を書くというのが一般的でした。その場合、求められる記事はマス向けのもので、高い専門性があってニッチな記事は、日の目を見ることができませんでした。それならば、専門性のある人が、好きなテーマで、好きなときに、好きなだけ発信できる場を用意して、そういった記事を集めてメディアにすれば、読んで面白いし、コンサルタントにとってもアピールの場になるし、面白いんじゃないか、というところから始まりました。
記事の内容は、その人の洞察から導かれたもの、インサイトなんです。ただインサイトだけではタイトルとしては物足りないので、ナウをつけました。当時ははまだTwitterは出てきていないときで、「○○なう」ではなくて、「ナウい」のナウなんです。いまさらながらナウを付けることが面白いかな、という遊び心です。今はTwitterの「なう」が有名になってしまいましたね。
記事を書く人は、審査をして厳選しています。INSIGHT NOW!はCGM(個人が情報発信をして内容を生成するメディア)ではありますが、記事の質を高く保つことにはこだわっています。
また、見た目の斬新さにもこだわりました。トップページの記事の見せ方は、他にはない配置の仕方ですが、見やすくわかりやすいレイアウトになっています。
記事の書き手をゼロから探したところです。知り合いは限られていましたので。インターネットでエッジの立った記事を書いている人を500人くらいリストアップして、片っ端から電話やメールでアポイントを取りました。力技だったんです。当然、ほとんど断られましたね。考えてみれば当然のことなのですけれど、質の高い記事を書ける人は、普段原稿料をもらって記事を書いているんですよ。そういった人たちにアポイントを取って、プレゼンをして賛同していただき、その結果INSIGHT NOW!のプレオープン時には16人の方が参加してくださいました。
読者へのリーチも苦労しました。まず一定数以上の読者がいるメールマガジンへの広告や、イノベーターが集まるサービスへの広告などを行ったんですが、これらは単価が高く誘導率も低かったので、効果を肌で感じるほどではなかったです。オープンから半年ほどたって、ライブドアさんなどのポータルサイトから、ニュースへの掲載オファーをいただき、そこから読者が付くようになりました。やはり、広告ではないメディア連携が効きました。
沢山あるんですけど、一番はマネタイズの難しさです。メディアとしてはうまくいったと自負していますが、そこからどうマネタイズするかは、最初の期待通りにいかないところです。また、リアルビジネスへの繋がりをどう作っていくか。ここも知恵の絞りどころです。
やはり人との出会いです。INSIGHT NOW!を始めてから1000人くらいのビジョナリーの方とお会いしましたが、思いを同じくするたくさんの人と出会えたことは大きかったと思います。INSIGHT NOW!に賛同して参加して下さった方のお役に立ちたいですが、まだそこまで行けていないことが歯がゆいですね。
コンサルタントで実力の高い方はたくさんいますが、独立をするとどこにいるのかわからなくなってしまいます。そういった方が活躍できるインフラでありたいと思います。
INSIGHT NOW!はさまざまな分野のプロフェッショナルが質の高い記事を投稿するビジネスメディアです。今後もさらなるユニークなコンテンツや取り組みに目が離せません。
インタビュアー:将積哲哉