楽しく生きる大人のウェブマガジン「あそびすと」様へインタビューを行いました

生き甲斐を持って楽しく生きている「あそびすと」を紹介するデスクトップマガジンを運営されています、編集長の小玉徹子さんにお話を伺いました。

生き甲斐を持って楽しく生きている“あそびすと”を紹介するデスクトップマガジン「あそびすと」を運営されています、出版・編集システムウイ 編集長の小玉徹子さんにお話を伺いました。

あそびすと
http://www.asobist.com/

宜しくお願いします。本社はCAD/CAMや3Dビューワソフトのコンサルテーション販売をされたりしているそうなのですが?

そうですね、母体の事業とは関係なくメディア事業をしています。

元々私はフリーランスでライターや編集者として長かったので、メディア事業を始めたかったんですね。ただ母体とは畑が違うので、事務所も分けました。本社は横浜にあるのですが、クリエイターやアーティストが多くいらっしゃるかなと思って渋谷にしました。

メインは「あそびすと」の運営で、他にウェブ制作の受注と、2年前から出版事業をしています。出版では2冊出しています。

「この女(まりりん)末期ガンにつき(http://www.asobist.com/maririn/)」は、立ち上げ時から一緒だったひたにまりこが、ある日、暑い日だったんですけど、汗とベソをかいて事務所にでてきて、席に着くなり「あたし癌だわ」って言って。またまた~って言ってたんですけど、それが本当に癌だったんです。その闘病記をずっとサイトに書いていたんです・・・直前まで。それをほとんど手を入れない形で書籍にしたのが、これなんですね。

「HIGEism(http://www.asobist.com/hige/)」の方はモデルさんが全て素人なんです。mixiにあるヒゲのコミュニティの管理人が知り合いだったので、そこでコミュニティの参加者に声をかけて頂いて、モデルさんを集めたら本に出来たっていう。

ウェブサイトに溜まった記事を書籍化するというのは、あそびすと立ち上げのときから計画していたので、ようやく出せたという感じです。紙ものの難しさというのは自分がずっと編集をやっていたのでわかっているんですが、やっぱり出したかったんですね。で、出しました(笑)

ただ、もうちょっと気楽に手に取ってもらえて、こちらも気楽に出版できて、っていう形でやるとしたらアプリかなとは感じています。ですので、私が連載していた「アラカン編集長モンブランを行く」という連載記事は、去年の8月モンブラン山に登って一区切りついたので、こちらは電子書籍化しています。ほとんど出来ていて、あとはアプリの審査待ちです。

※モンブラン山:フランスとイタリアの国境に位置するヨーロッパアルプスの最高峰

還暦を過ぎてモンブラン挑戦って、凄いですね!

「あそびすと」というのは、遊ぶならマジで遊ぼう、人生遊び飛ばしちゃえ!っていうのが、アソビズムで、それを持って生きている人を「あそびすと」と呼ぼうと定義づけたんですね。そこで主幹自らがその旗手たらんということで、気が付いたら山にはまっていたんです(笑)

山の方があとなんですね。

最初サイトを始めたころは、グルメとか温泉とか記事にしていたんです。そんな中、ちょうどメタボ世代になっちゃって、これはなんとかしないといけないと言う事で奥多摩とかを歩き始めたのが最初ですね。それで気が付いたらモンブランに。

あそびすとの記事の特徴ってどこにありますか?

ポータルサイトのような情報が豊富なサイトをインフォメーションの塊とすれば、あそびすとはインフォメーションではなくてインテリジェンスを提供したいと考えています。
例えば「沖縄に行ってみたい」と思ったときに、「沖縄」で検索すれば、あらゆるスポットが検索の結果に出てきますでしょ?その中で、検索をした人が3泊4日で周ると言うプランを選択するときに、同じ傾き同じ密度で書かれている情報の中では選択の基準がないんです。トラベルライターさんが取材に行く場合、書かなければいけない取材事項というのがあって、それを外すことはできないからなんですね。そうすると、情報はたくさん手に入れたけど、判断する価値基準が見つからない。それって面白くないですよね。取材事項で書かなくてもいい事の中に、むしろ面白い事、そこじゃなきゃ無いものがあるんですよ。
あそびすとは日本中、世界中にたくさんライターさんがいらっしゃって、そこに生活してそこに息づいていないとわからないということをトツトツとでよいから語ってください、とお願いしています。
ライターさんにはシーズンごとにテーマを決めて投げてみて、記事を書いてもらっています。同じテーマという切り口でも、世界各地のライターさんでは違った記事になるんです。例え何食べたどこ行ったという、真新しいものではなくても、そこで生活していないと絶対に見られないものっていうのを書いてもらうだけで、当たり前の切り口が当たり前じゃなくなるっていう面白みがあるし、読みごたえのある記事になります。

一般のユーザーの方からも記事を集めているんですね?

そうですね、例えば初恋物語というテーマで記事の募集をして、それに応募してくださって、そこから専属のライターさんになる方もいます。初恋物語のバックのイラストは私の好きなイラストレーターの方に描いてもらっています。綺麗なのでまとめれば大人の絵本になるかなと夢は広がります。

ひとつひとつの記事に特徴があって、他ではないものだったら、それを集めていけば、必ずすぐ本になっちゃうって感じなんですね、私的には。今までは紙面だと採算とか販路とか常にネックになっていたんですけど、ネットだともっと簡単にできるかもねって思います。

メインのコンテンツというのは何になるのですか?

世の中のあそびすとたる方に登場して頂いている記事が大きな柱ですね。アウトドア系やアート系の方とか、今は小林路子さんというきのこの絵を描いている方を紹介していますけど、それまではアルピニストが多く登場していました。
普通は食べるもの食べないと生きてはいけないんですけど、食べられなくてもいいやって考えてしまう人って、凄いんですよ。例えば菅野米蔵さんは、生まれつき視力がない人に、おでこに付ける装置で物が見えるようになるという製品を開発しましたが、最初からその仕事をしていたわけではないんですね。ふとした拍子にバス停で目の見えない人を見かけて、この人が見えるようになったらいいのになと思ったところから始まって、夢中になって開発して、「見えた」って言わせた。そういうマジで遊ぶというのは素敵ですし、そうやって生きていけたら最高ですね。

そういったあそびすとの方は、伝手だったり電話をかけたりして、口説き倒して取材させてもらっています。アスリートの方だと、アスリートを扱うプロモーション専門の会社に登録されていたりするので、そこに連絡してアポイントを取りましたし、山岳気象予報士の猪熊隆之さんにインタビューをしたときは、テレビの番組で猪熊さんが紹介されていたのを観ていて面白かったので翌日には電話をかけていました。
丁度今も、以前から気になっていた方を山荘で偶然見かけて、たまたま1枚だけ名刺があったのでそれをお渡しして連絡を取ろうとしているところです。
本当にひょんなことで、ひとつの傾きをもっていると、どこかで反応があるものですよ!

なるほど。そういえばコンテンツの中で事務所のある桜丘の情報が凄く豊富なのが気になったのですが。

それは、一生懸命やってます!
フリーでやるまえはタウン誌の編集長を長くやっていたんです。いわゆる新聞のようなメディアは事件の記事を扱いますけど、タウン誌には事件とかのネガティブなニュースが無いのが特徴なんです。右の情報を左に流すというのがミッションなので、“家と家の間の空き地にいぬふぐりの花が咲いたよ”というのも立派にニュースなんです。そういう世界観が大好きなんですね。
それで、せっかく桜丘にいるんだから、ここに居させていただいている事の還元の意味で、桜丘の紹介をしています。紹介したお店や団体はもう60店を超すんですけど、そうすると「うちにはいつ来てくれるの?」って言ってくださるし、飲みに行くときも、ハシゴするお店が増えて(笑)
長く居ることって貴重なんだな、って改めて思いましたね。

運用面では、いかがですか?

あそびすとは、周知をどうやってするかが、いつも課題なんです。「あそびすと」という言葉が造語なので検索してくる人はいなくて、他のキーワードでできるだけひっかかるためにはSEOを含めてどうしようかとか、そのキーワードで来られた場合にすぐに帰ってしまわれないためにはどうするか、ブレークポイントを常に考えていますね。
運用の専任のスタッフは4人です。あと2人はパートで。ネットワークではライターやイラストレーターをはじめ編集という名のつくところにつながる全ての分野のアーティストさん達とコミュニケーションをとりあっているので、何か起きた時には動いてもらえます。
営業は個人個人でもしてるし、サイトをみて突発的に依頼が起きる場合もあります。取材させていただいた繋がりで相談いただくこともあるって感じですね。

今後の展望を教えてください。

記事をまとめて、iPhoneやiPad向けにアプリを出します。基本はiTunes系のアプリで出すんですけれども、その先はアンドロイドも様子を見ながら広げていこうと思っています。アプリは、商品としてだけではなく、あそびすとの集客につながるプロモーションツールとして活用したいと考えています。まずは今審査中のものが、審査に通れば遅くても2月には出せます。 それと、サイトに記事が溜まったから出そうというのもあるんですけど、最初から書籍・アプリ化を狙った企画をしていくことも考えています。
サイトのバラエティやコンテンツの充実はできてきていますが、まだウェブメディアとしての採算には、なかなか難しい所にいます。自活できるように、できることをどんどんしていきます。

小玉さんはメディアを通して、「遊び心を持つ事」「人生を楽しく生きる事」を提案し、ご自身も実践していらっしゃいます。溢れるようなエネルギーと意欲を感じるインタビューでした。

インタビュアー:将積哲哉

ウェブサイト

http://www.asobist.com