株式会社アンピールの鈴木雅晴代表取締役に、株式会社アンピールのミッションについてお話を伺いました。
株式会社アンピールは自由が丘を中心にリラクゼーションサロンを展開。またアンピールアカデミーを設立し、セラピストの育成を行っている。
リラクゼーションサロンを運営しています。身体をリラックスさせて、心までも元気にする、お客様の健康と美容づくりのお手伝いをする仕事です。
大学2年のときにアルバイトをしていた会社がエステ部門を立ち上げることになって、そこに配属されて営業をしていました。それから大学を卒業する時に独立して、いままでずっとこの仕事をしています。
元々学生のころから起業したいと思っていました。使命感に燃えていたというよりは、社長になりたい、お金持ちになりたい、そんな動機だったんですね。
とにかくお客さんをとって、如何に単価を上げて来店頻度を上げていくか、グラフを作って売り上げをとにかく目指していく営業先行型でした。エステはその手段だったんです。
山があるんですよね。起伏が激しく、安定しなくて、いつも不安感がありました。
そうこうしているうちに、仕事が立ち行かなくなってきた時期がありました。その時に、一度立ち止まって自分たちのあり方を問いたださないといけないのではないか、自分の使命は何なのか本気で考え始めました。儲かっていればそれでいいのか、売り上げだけを目指すのが正しいのかと考えたら、どうもそこには順番があって、先に強い想いだとかブレない軸だとかが会社の中にあるということが、とても大事なんだとようやく気付いたんです。
癒しとはどういうことか。仕事をするってどういうことか。お金をいただくってどういうことか。一緒に働く仲間って何のために一緒なのか。自分たちは何なのか。
そういったことを真剣に考えることで、今のスタンスがおぼろげながら見えてきて、そこから急にではないですが、間違いなく成長が始まりました。
やはりこの業界は技術者の技術とマインドが命なんです。単に自分の生活のために仕事をしているのか、それともお客様に意識を向けて取り組んでいるのかは、同じ施術をしていても結果に違いが出るんです。今日はお客様がどういう気持ちでいらっしゃって、どういうお話しをしたい気分なのか、お話しを聞いてあげた方がいいのか、勇気づけるような言葉掛けをするのか、そうやってお客様に意識が向いていると、同じ施術をしても効果は違います。
そんなセラピストとしての在り方を伝えるためにアカデミーを開校したんです。
今までに400名ほど卒業していますが、最近のフレックスで通いやすい学校とは違って、入学と卒業を合わせて皆で足並みをそろえて勉強してもらっています。そうすることで同期で教え合って、試験に中々受からない人をサポートしあう、そんな空気を作っています。
ひとりでするのではなくて皆で、お互いに支え合うのが私たちの信条なんです。「真の癒しとは支え合いである。」これが私たちの理念です。
ミーティングや社内の評価システムなど、皆が日常の業務の中で、会社の理念を自然と意識できるような流れは作っています。ただ評価それ自体は重要ではなくて、それを通して上司と会話をしたりして、理念を再認識したり、もっと上に向かって頑張ろうって気付けば良いと思っています。それは文化のようなもので、仕組みより企業文化が重要だと思います。
ほぼ口コミです。本店に至っては看板もだしていません。ドアにロゴはついていますが、外からは何のお店かわからない。ホームページはありますが、大手ポータルにも載せていませんし、ウェブ戦略もありません。
ただ難しいのは、口コミを広げていただくのは大事ですが、口コミをしてもらうために何かをするというのは良くなくて、このあたりの順番は難しいのですが、口コミをしてもらうための対策をしない方が、口コミが広がって行くという所はありますね。不思議なものです。大切なことは、目の前のお客様をしっかりと大切にすることだと思います。
あるホテルにサロンを入れさせて頂きましたが、3年間で1件もクレームが無かったんです。そこから大きなお仕事に繋がって行きました。弊社の行動指針に「小さき事を大事にする」とあるのですが、小さいご縁も誠実に大切にすることが大きなチャンスに繋がった例です。運が良かったと思っています。箱根の6店舗もそうです。
最初は知人から、稼働率の低いホテル内のカラオケボックスをどうにかできないかと相談を受けて、簡単なリラクゼーションスペースを始めました。その評判が良くて、そうすると他のホテルにも薦めていただけて。箱根のホテルの方々も、良いものがあればお互い発展するために紹介をしあっているんですね。まさに支え合いです。
メニューにも気を使っていて、箱根の全部のお店で店舗名もメニューも価格も変えています。お客様が泊る理由を作るにはそこにしかないコンテンツを作るべきなので、ホテルごとのテイストやお客様の特質に合わせてゼロから作り上げます。時間もかかるし効率は悪い、ですがホテルのためにできる事を考えたら、それ以外にないですよね。
お金を目指していたら絶対楽しくないやり方ですが、自分たちの目指すものが明確にあると、このプロセスがとても楽しいと思えるんです。
もっといろんなことをしていきたいです。
ひとつは医療との融合。西洋医学って凄く大切で、しかもどんどん進歩しています。でも病気になる人が減っているかというと、どんどん増えていっている。例えばメタボは60年前の3万人から現在は1200万人に膨れ上がっています。そこで先端医療と、我々が代替療法といっている日常の身体のメンテナンスとがうまく融合していけばもっと現状を変えられると思っていて、医療に認めてもらえるようなリラクゼーションを作りたいです。
ほかにも、会社を女性が活躍できる場にしたいと思っています。セラピストっていうのは手に職のある職業で、結婚出産しても、家族や子育てを大事にしながら、やりがいをもってできる職業なんです。そのためにはそれをサポートできる会社の仕組みがあったほうが良い。例えばこのお店では産休明けで復帰してきているスタッフが数名います。そこで定期的にベビーシッターを雇って、お客様の対応の間赤ちゃんを見てもらっています。仕事はその人の人生の一部なので、家庭も大事にしながら安心して働ける環境を作っています。
セラピストって女性にとってはすごくいい仕事なんですよね。ホスピタリティとか、健康の事とか、母親に必要な知識や技術が満載なんです。セラピストが子どもの将来の夢になるような職業にしたいと思っています。そのためには我々の意識をしっかり高めていかないといけない。
課題は、個に走ってしまう傾向があるところです。実力が付くと独立する方が多い。
独立自体は素晴らしいんですけど、個人プレー、つまり自分だけが良ければ、という考えになってしまいがちなんですね。
それは何故かというと、会社が会社さえよければいいと思っているから。だから実力が付くと皆辞めてしまって、結果自分本位になっていくんです。会社の責任もあるんです。そうしている限り、働く環境とか職業としての位置づけは上がっていかないと思っています。
ですので、個に走るのではなくて、独立した人達が集まってコミュニティを作って、一つの動きになって行くと良いと思っています。できれば独立した方々と私たちと、場所は違っても一緒に関わって同じ想いで活躍するような、ある種のコミュニティのような組織にしたいと思います。そこを結び付けるのはビジョンやミッションしかないですね。
そうやって例えば自由が丘が癒しのエリアになったら良いなと思いますね。癒しと言えば自由が丘、みたいな。それこそセラピストだけではなくて、レストランや幼児教育など、業種が違うけど同じ方向を向いているエリアになればいいですね。そうやって周りを巻き込めるパワーを作って行かないといけないですね。
インタビュアー:将積哲哉
関連サイト
株式会社アンピール
http://anpiel.com/
ホロス・ゾーンセラピースクール
http://www.holos-zone.com/