AIを活用した防災コンシェルジュ「Sonael(ソナエル)」の開発

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第2回 AI Agent Hackathonに向けて、防災分野におけるAI活用をテーマとした「防災コンシェルジュ Sonael(ソナエル)」を開発しました。今回の開発を通じて得られた知見や技術は、今後のAI活用プロジェクトやサービス開発に応用してまいります。

背景

首都直下地震の発生確率は30年以内に約70%といわれています。数字としての危機感はあるものの、実際の備えに行動が結びつかないという課題があります。
「Sonael」は、こうした“行動に移せない防災意識”をサポートすることを目的としています。

概要と特徴

Sonaelは「客観的なリスク情報」と「主観的な不安」に両面から対応する防災サポートエージェントです。



主な機能は以下の通りです。

①位置情報によるリスク分析
緯度経度から洪水・土砂災害・地震・津波の4項目を迅速に判定し、「高・中・低」のリスクレベルを提示(⏱約5秒)



②心配ごとのヒアリング
家族構成や住宅条件に加え「被災時にペットが心配」「避難所で眠れなかったらどうしよう」など感情面をヒアリング


③防災レポート生成
「リスク評価」と「しんぱい」を組み合わせたパーソナライズドレポートを生成。推奨する防災アイテムは自治体資料を出典として提示し、家族構成と備蓄目標日数に基づいて必要量を自動計算



④チャット形式でのサポート
友達に打ち明ける感覚で質問 → AIが追加アイテムや代替策を提案。“自分だけの防災アイテムリスト”が会話のたびに育つ



技術構成

  • フロント・バックエンド:Ruby on Rails 7
  • AI基盤:Vertex AI(Gemini / Embeddingモデル)
  • データ:東京都の防災ガイドブック等をFirestoreに格納し検索に活用
  • デプロイ:Cloud Run

ユーザーテストの声

試験利用を通じて以下のフィードバックがありました。

  • 「生理や避難所での寒さ対策など、これまで意識していなかった不安に気づけた」
  • 「備えが十分かどうかを確認でき安心した」
    一方で「避難所情報など地域別データの充実」「家具固定など家庭内対策の提案」への要望も寄せられました。

まとめ

第2回 AI Agent Hackathonでは「ファクト × しんぱい」という視点で、防災を自分ごと化し、行動に繋がる体験をどう作るかに挑みました。合理的に考えれば必然的に優先順位が高くなるはずの「防災」をどう行動に直結させるか、UIやストーリー設計に頭を悩ませながらも、「誰でも使えて行動できるAI」を目指して手を動かし続けた数週間でした。今回の開発を通じて得られた知見や技術は、今後のAI活用プロジェクトやサービス開発に応用してまいります。